Canon EOS-1 フィルム一眼レフ

Canon EOS-1

Canon EOS-1は、キヤノンが1989年9月に発売した35mmフィルム用AF一眼レフカメラです。

EOSシリーズにおける初のプロフェッショナル向けフラッグシップモデルであり、その後のEOS-1N、EOS-1V、デジタル時代のEOS-1Dシリーズへ続く「EOS-1」の出発点となった歴史的な一台です。

発売時価格はボディのみ189,000円。

24×36mmの35mmフィルムを使用し、EFマウント、最高1/8000秒シャッター、1/250秒X同調、視野率ほぼ100%のファインダー、動体予測AIサーボAF、多彩な測光方式などを備えていました。

目次

Canon EOS-1とは

Canon EOS-1は1989年9月に発売されました。

キヤノン公式資料による主な仕様は次のとおりです。

  • 使用フィルム:35mmフィルム
  • 画面サイズ:24×36mm
  • マウント:Canon EFマウント
  • AF:TTL位相差検出方式
  • AFセンサー:クロスタイプBASIS
  • AFモード:ワンショットAF/動体予測AIサーボAF
  • AF検出範囲:EV-1~18(ISO100)
  • シャッター:縦走行金属幕電子制御フォーカルプレーン
  • シャッター速度:30秒~1/8000秒+B
  • X同調:1/250秒
  • 測光:6分割評価/中央重点平均/約5.8%部分/約2.3%スポット
  • 露出モード:P/Tv/Av/M/深度優先AE
  • 露出補正:±3EV
  • 多重露出:最大9回予約可能
  • フィルム感度:ISO6~6400
  • ファインダー倍率:約0.72倍
  • ファインダー視野率:ほぼ100%
  • フォーカシングスクリーン:交換式7種類
  • フィルム送り:約2.5コマ/秒/1コマ
  • フィルム装填:オートローディング
  • 巻き戻し:モーターによる自動巻き戻し
  • 電源:2CR5リチウム電池1個
  • サイズ:約161×107×72mm
  • 重量:約890g(電池含む)

1989年のAF一眼レフとして、まさにキヤノンの最高峰を狙った仕様でした。

EOSシリーズ初のプロ用フラッグシップ

EOS-1以前にもEOSカメラは存在します。

EOSシリーズそのものは、1987年3月発売の、

EOS 650

から始まりました。

EOS 650では、キヤノンが長年使用してきたFDマウントを捨て、完全電子制御の新しいEFマウントへ全面移行。

AFモーターをレンズ側へ搭載し、ボディとレンズの間では電気信号だけをやり取りするという新しいシステムを採用しました。

そしてわずか2年後。

1989年に、

EOS-1

が登場します。

キヤノン公式もEOS-1について、プロ写真家の高度な要求へ応えるため開発されたEOS初の最高級プロモデルと位置づけています。

つまり、

EOS 650
→ EOSシステム誕生

EOS-1
→ EOSプロシステム完成

という流れです。

FDマウントからEFマウントへ

EOS以前のキヤノン一眼レフではFD/New FDマウントが使われていました。

しかしAF時代へ本格対応するため、キヤノンは既存マウントとの互換性を維持する道を選びませんでした。

完全電子制御の、

EFマウント

を新規開発。

マウント部から機械的な絞り連動やAF駆動伝達を排除し、電子接点によってレンズとボディを通信させました。

当時としては非常に大胆な決断です。

長年蓄積されたFDレンズ資産との直接互換性を捨てるからです。

しかし結果的に、この完全電子化されたEFマウントはキヤノンEOSシステムの大きな武器になっていきます。

EOS-1はEFレンズ専用

したがってEOS-1へ使用するのは、

EFレンズ。

です。

FD。

New FD。

FL。

は直接装着できません。

一方、EOS-1発売以降に登場した多数の35mm判対応EFレンズを使用できます。

たとえば、

EF 50mm F1.8。

EF 50mm F1.4 USM。

EF 85mm F1.8 USM。

EF 24-70mm。

EF 70-200mm。

各種Lレンズ。

などです。

フィルムカメラでありながら、後年のEOSデジタル一眼レフと同じEFレンズ資産を利用できることが、現在EOS-1を使う大きな魅力です。

AFポイントは「1点」

現在のカメラに慣れていると驚きます。

Canon EOS-1のAFポイントは、

中央1点。

です。

ファインダー中央に一つのAFフレームが配置されています。

後継EOS-1Nでは5点。

EOS-1Vでは45点。

現代のデジタルEOSではさらに大量のAFエリアが使われます。

それに対して初代EOS-1。

中央一点。

潔い。

しかしその1点が強い

AFポイント数だけを見れば非常に原始的です。

しかしEOS-1の本質は、

数ではなく精度と感度。

でした。

キヤノンはEOS 650で使われたBASIS AFセンサーに対し、約4倍の高感度化を実現。

さらに縦・横双方のパターンへ対応できるクロスタイプBASISを開発しました。

AF検出範囲は、

EV-1~18。

ISO100条件でEV-1というかなり暗い環境までAF作動が可能でした。

クロスタイプAF

初期AFセンサーでは、被写体の模様方向によってピントを検出しにくい場合があります。

縦線には強い。

横線には弱い。

あるいはその逆。

EOS-1ではクロスタイプセンサーを採用することで、異なる方向のコントラストを検出できるようにしました。

現在ではクロスタイプAFは珍しくありません。

しかし1989年のプロAF一眼レフにとって、非常に重要な技術でした。

動体予測AIサーボAF

さらにEOS-1では、

動体予測AIサーボAF

を搭載しています。

単に動く被写体へAFを合わせ続けるだけではありません。

被写体の移動を予測し、

シャッターが実際に切れる瞬間の位置

へピントを持っていくことを狙ったAFです。

キヤノン公式も、EOS-1の特徴としてこの動体予測AIサーボAFを強く挙げています。

スポーツ。

報道。

動物。

モータースポーツ。

といったプロ撮影でAF一眼レフを使うためには、単なる静止物AFでは足りません。

EOS-1はそこを本気で攻めました。

ワンショットAFも搭載

もちろん静止被写体では、

ワンショットAF

を使用できます。

ピントを合わせる。

↓

合焦。

↓

フォーカスロック。

↓

構図を調整。

↓

撮影。

という一般的なAF撮影です。

中央一点AFしかないため、画面端の人物へ合わせる場合などは、

中央でピント。

↓

構図をずらす。

という撮影方法が基本になります。

現代では中央一点AFが逆に分かりやすい

現代のカメラでは、

人物。

瞳。

動物。

鳥。

車。

列車。

と、カメラが自動で被写体を認識します。

EOS-1は、

中央に合わせてください。

以上です。

🤣

しかしこれは逆に、

「カメラがどこへ合わせようとしているのか」

が非常に明確です。

撮影者がAFポイント選択に迷うこともありません。

シャッター最高速度1/8000秒

EOS-1のシャッターは、

最高1/8000秒。

1989年のプロ一眼レフとして非常に高速です。

明るい屋外でも、

F1.4。

F2。

など大口径レンズを開放付近で使いやすくなります。

高速で動く被写体を止める用途にも有利です。

1/8000秒なら大口径レンズを使いやすい

たとえばISO400フィルムを入れている。

晴天。

でも85mm F1.2や50mm F1.4を開放で使いたい。

最高1/1000秒しかないカメラでは、明るすぎて露出オーバーになる場合があります。

1/8000秒まであれば撮影自由度が大きく上がります。

プロ機にとって最高シャッター速度は単なる数字競争ではありません。

X同調1/250秒

フラッシュ同調速度は、

1/250秒。

フォーカルプレーンシャッター機として高速な同調速度です。

日中シンクロ。

スタジオ撮影。

報道。

人物。

などで背景光を抑えながらフラッシュを使いやすくなります。

シャッターは縦走行金属幕

シャッターは、

縦走行金属幕電子制御フォーカルプレーンシャッター。

速度範囲は、

30秒
~
1/8000秒

+B。

しかも1/3段単位で制御されます。

完全機械式カメラではありません。

電子制御が前提です。

電池がないと基本的に撮れない

EOS-1は電子カメラです。

使用電池は、

2CR5型6Vリチウム電池1個。

AF。

測光。

シャッター。

フィルム送り。

巻き戻し。

これらが電子化されています。

したがって、

「電池がなくても1/90秒だけ機械式で切れる」

というタイプではありません。

EOS-1を使うなら、

電池は必須。

です。

2CR5は現在でも比較的入手しやすい

幸い2CR5は、古い水銀電池ほど困る規格ではありません。

現在でもカメラ用リチウム電池として流通しています。

ただし中古EOS-1へ古い電池が入ったままの場合は、

電池漏れ。

端子腐食。

接触不良。

などを確認しておきましょう。

露出モードが豊富

EOS-1はプロ機だからといって、

マニュアル露出だけ

ではありません。

  • インテリジェントプログラムAE
  • シャッター優先AE
  • 絞り優先AE
  • 深度優先AE
  • メータードマニュアル

へ対応します。

現在の表記なら、

P。

Tv。

Av。

M。

さらにDEP。

です。

キヤノンらしいTv表記

キヤノンではシャッター優先AEを、

Tv

と呼びます。

Time valueの略です。

つまり、

Tv
→ シャッター速度を人間が決める
→ 絞りをカメラが決める

Av
→ 絞りを人間が決める
→ シャッター速度をカメラが決める

です。

この操作体系は後のEOSシリーズへ長く受け継がれていきます。

深度優先AEも搭載

EOS黎明期で特徴的なのが、

深度優先AE。

です。

撮影者がピントを合わせたい手前と奥を指定し、その情報から必要な被写界深度を得られる絞り値などをカメラが判断する機能です。

現在のEOSではほぼ見なくなった機能ですが、フィルムEOS時代には象徴的な自動露出モードのひとつでした。

測光方式は4種類

EOS-1の測光はかなり本格的です。

6分割評価測光

中央重点平均測光

約5.8%部分測光

約2.3%スポット測光

へ対応します。

場面に応じて使い分けることができます。

6分割評価測光

画面を6つの領域へ分け、各領域の明るさから適正露出を算出します。

現在の多分割測光と比べれば6分割は非常に少なく見えます。

しかし1989年です。

カメラが画面全体の明るさを分析して露出を決める、当時として高度な方式でした。

約2.3%スポット測光

プロ機らしいのが、

約2.3%スポット測光。

です。

被写体のごく狭い部分だけを測定できます。

舞台。

逆光。

雪景色。

明暗差の激しいシーン。

などで、

「ここを基準に露出を決めたい」

という撮影に便利です。

部分測光も使える

スポットほど狭くせず、

画面中央約5.8%

を見る部分測光もあります。

中央部の人物。

逆光ポートレート。

などでは使いやすい方式です。

評価。

中央重点。

部分。

スポット。

プロが露出を自分でコントロールできるよう、複数方式を選択できます。

露出補正±3EV

露出補正は、

±3EV。

1/3段単位です。

フィルムは撮影直後に画像を確認できません。

したがって、

「ちょっと暗かった。あとでRAWを持ち上げよう」

とはいきません。

撮影時の露出判断が重要です。

オートブラケティング対応

EOS-1は露出ブラケティングにも対応します。

同じ構図を、

標準。

少しアンダー。

少しオーバー。

と複数枚撮影できます。

特にリバーサルフィルムでは露出許容度が狭いため、

絶対外したくない一枚

で有効です。

フィルム代は増えます。

しかし失敗して撮り直せない現場なら保険になります。

多重露出は最大9回予約

EOS-1では多重露出にも対応。

最大9回まで予約できます。

同じフィルム面へ複数回露光し、

人物+風景。

月+夜景。

異なる構図。

などを重ねることができます。

デジタル合成以前の、

フィルム上で直接合成する写真表現

です。

ファインダー視野率ほぼ100%

プロ機として非常に重要なのが、

視野率ほぼ100%。

普及機ではファインダーで見えている範囲より、実際のフィルムには少し広く写ることがあります。

EOS-1ではファインダー像と実際の撮影範囲をほぼ一致させています。

フレーム端まで厳密に構図を作るプロ撮影で重要です。

ファインダー倍率0.72倍

倍率は、

約0.72倍。

アイポイントは20mmです。

メガネ使用者でも比較的見やすく、プロ機らしくファインダー情報も豊富。

シャッター速度。

絞り。

露出レベル。

AF合焦。

スポット測光範囲。

フィルム残量。

などをファインダー内で確認できます。

フォーカシングスクリーン交換式

フォーカシングスクリーンも交換式。

キヤノン公式では7種類が用意されていました。

撮影用途によって、

標準。

方眼。

マニュアルフォーカス向け。

特殊用途。

などへ変更できます。

現在中古でスクリーン交換品が付いている個体では、どの種類か確認してみるのもよいでしょう。

フィルム装填は全自動

古い機械式一眼レフなら、

フィルムを入れる。

リーダーをスプールへ差す。

巻き上げる。

確認する。

という操作があります。

EOS-1では、

フィルム先端を所定位置へ合わせる。

↓

裏蓋を閉める。

↓

自動装填。

です。

プロ機ですが、フィルム操作は高度に自動化されています。

巻き上げもモーター

通常EOS-1本体では、

最高約2.5コマ/秒。

撮影。

↓

自動巻き上げ。

↓

次の撮影。

機械式カメラのように手でレバーを巻く必要はありません。

巻き戻しも全自動

36枚撮りを終了。

↓

カメラがモーターで自動巻き戻し。

途中巻き戻しも可能です。

一眼レフとはいえ、フィルム操作そのものはかなり現代的です。

EOS-1 HSなら5.5コマ/秒

そして初代EOS-1には、

EOS-1 HS

があります。

これは別設計のボディではありません。

EOS-1へ、

Power Drive Booster E1

を装着した高速仕様です。

ブースター装着によって最高連写速度は、

約5.5コマ/秒

まで向上します。

5.5コマ/秒で36枚フィルムを撃つ

理論上5.5コマ/秒。

36枚撮り。

押し続ければ――。

約6~7秒で一本終了。

🤣

フィルム代。

現像代。

スキャン代。

高速連写には覚悟が必要です。

プロのスポーツ撮影では必要な性能ですが、現代の趣味フィルム撮影でやったら財布が先にシャッター幕を閉じる。

ブースターE1は単3電池8本

Power Drive Booster E1は、

単3アルカリ電池8本

を使用します。

ブースター装着時には、その電源からカメラ本体へも給電されます。

本体標準2CR5より入手しやすい単3を使用できることも、プロの現場ではメリットでした。

ただし当然、

大きく。

重く。

なります。

EOS-1 HSは縦位置撮影もしやすい

大型ブースターを装着すると縦位置グリップとしても機能し、望遠レンズ使用時などのホールド性も向上します。

スポーツ。

報道。

モータースポーツ。

などでは、標準EOS-1よりHSスタイルのほうが「プロEOSらしい姿」として印象に残っている人も多いでしょう。

本体890g

標準EOS-1は、

約890g。

電池込みです。

軽くはありません。

しかし35mmプロ一眼レフとして、

頑丈なボディ。

大型ファインダー。

内蔵モーター。

高速シャッター。

AF。

を考えれば納得できる重量です。

50mmレンズを付ければ意外と普通に持ち歩ける

巨大な白レンズ+ブースター。

というEOS-1のイメージがありますが、

EF 50mm F1.8。

EF 35mm F2。

など小さなレンズを付ければ、普通のスナップカメラとしても使用できます。

視野率ほぼ100%。

優秀な測光。

1/8000秒。

AF。

自動巻き上げ。

が使えるので、

超豪華なフィルムスナップ機

になります。

EOS-1Nとの違い

1994年11月。

後継の、

EOS-1N

が登場します。

最大の分かりやすい違いがAFポイント。

EOS-1
→ 1点

EOS-1N
→ 5点

です。

EOS-1Nではフォーカスエリアが広がり、AIサーボによる動体追従性能も強化されました。

測光も進化

EOS-1の評価測光は6分割。

EOS-1Nでは16分割評価測光へ発展しました。

AFポイントとの連携も強化され、プロからのフィードバックを反映して操作性、剛性、静粛性なども改善されています。

したがって、

EOS-1Nは単なる「EOS-1の名前変更版」ではありません。

実用性能をかなり磨いた第2世代です。

EOS-1Vとの違い

2000年にはフィルムEOS-1シリーズ最終世代、

EOS-1V

が登場します。

AFポイントは、

45点。

Power Drive Booster PB-E2使用時は最高約10コマ/秒。

作動耐久試験基準は15万回。

防塵・防滴性能も大幅強化されています。

整理すると、

EOS-1
1989年
1点AF

↓

EOS-1N
1994年
5点AF

↓

EOS-1V
2000年
45点AF

です。

わずか11年で、

1。

5。

45。

AF進化の速度がすごい。

「EOS-1」とだけ書いてあれば初代

中古市場では、

EOS-1。

EOS-1N。

EOS-1V。

EOS-1N RS。

EOS-1 HS。

などが混在します。

今回のモデルは、

無印EOS-1。

1989年の初代です。

前面ロゴやボディ表記を確認しましょう。

「EOS 1系」とだけ書かれた中古商品では、後継機まで一緒に扱われていることがあります。

EOS-1Dとはデジタル

さらに現在、

「Canon EOS-1」

で検索すると、

EOS-1D。

EOS-1Ds。

EOS-1D X。

など大量のデジタル一眼レフが出てきます。

しかし今回のEOS-1は、

フィルム。

です。

デジタルセンサーはありません。

背面液晶もありません。

1989年。

ここからデジタル1Dシリーズへブランドが継承されていきました。キヤノンは2001年に初のプロ用デジタルEOS-1Dを投入しています。

「1」という数字の意味

EOSシリーズでは、

1=フラッグシップ。

という位置づけがこのカメラから定着します。

EOS-1。

EOS-1N。

EOS-1V。

EOS-1D。

EOS-1Ds。

EOS-1D X。

現在まで、

プロ向け最高峰=1

というDNAが続いています。

1989年のEOS-1は、その始祖です。

中古で確認したいポイント

Canon EOS-1はすでに30年以上前の電子AF一眼レフです。

購入時は、

  • 電源
  • 2CR5電池室
  • シャッター
  • ミラー
  • AF
  • EFレンズ通信
  • 絞り制御
  • 測光
  • LCD表示
  • ファインダー
  • フォーカシングスクリーン
  • フィルム装填
  • 巻き上げ
  • 巻き戻し
  • 裏蓋
  • 各操作ボタン
  • ダイヤル
  • ホットシュー

などを確認しましょう。

機械式カメラとは違い、

電子系が正常であること

が非常に重要です。

「BC」表示とシャッター不動に注意

EOS-1の中古で知られているトラブルとして、

BC表示が出てシャッターが切れない

症状があります。

ユーザー報告では、長期間使用されていなかった個体などでミラー復帰系のマグネットが固着し、シャッターサイクルが完了しなくなる事例が知られています。

もちろんBC表示には電池など別の原因も考えられるため、

BC=必ずマグネット故障

と断定はできません。

しかし中古EOS-1では、

「シャッター切れました」

だけでなく、

何十回か連続して正常動作するか

まで試したいところです。

叩いて直す個体は避けたい

ネット上には、

軽く衝撃を与えたら動いた。

マグネットを刺激したら復活した。

という例があります。

しかし中古購入時に、

「叩けば動きます」

は正常品ではありません。

一時的に復活しても再発する可能性があります。

実用品なら、安定して連続動作する個体を選びましょう。

AF確認は近距離と遠距離で

EFレンズを装着し、

近距離。

↓

遠景。

↓

近距離。

とAFを往復させます。

スッと合焦するか。

異常に迷わないか。

合焦ランプが正常か。

AIサーボで被写体を追えるか。

を確認します。

EOS-1最大の売りはAFです。

ここが死んでいては魅力が大きく減ります。

EFレンズ通信も確認

EFマウントでは、

AF。

絞り。

焦点距離情報。

などを電子通信します。

接点が汚れていると、

レンズ認識不良。

絞り不動。

AF不動。

エラー。

などが発生する場合があります。

ボディマウント側の接点に、

腐食。

深い傷。

変形。

がないか確認します。

絞り制御を確認

Avモードで、

F1.8。

F5.6。

F16。

などへ変更。

撮影時にレンズの絞り羽根が正常に動くか確認します。

EFレンズには機械式絞りリングがありません。

ボディからの電子信号で制御します。

したがって、

ボディ側通信不良でも絞りが使えなくなる

可能性があります。

シャッター幕を見る

裏蓋を開け、

シャッター幕へ、

傷。

変形。

油。

異物。

がないか確認します。

ただし非常にデリケートなので、

絶対に指で触らない。

EOS-1は最高1/8000秒で金属幕を高速走行させる精密機構です。

高速・低速両方を試す

1/8000秒。

1/1000秒。

1/125秒。

1秒。

30秒。

など複数速度で作動させます。

高速だけ。

低速だけ。

では不十分です。

電子制御なので、表示と実際の速度が完全一致しているかは測定器なしでは分かりませんが、

少なくとも明確に動作時間が変わることは確認できます。

フィルム給送も重要

フィルムを実際に装填できるなら、

裏蓋を閉める。

↓

自動ローディング。

↓

1コマ撮影。

↓

自動巻き上げ。

↓

最後まで送る。

↓

自動巻き戻し。

まで試せれば理想です。

モーター系が死んでいるとフィルムカメラとして使えません。

LCDの液漏れ・表示欠け

上面LCDも確認します。

数字欠け。

液晶漏れ。

表示が薄い。

特定セグメントが出ない。

などがないかチェックします。

EOS-1は設定情報をLCDへ大きく依存するため、表示不良は操作性へ直接影響します。

ファインダーはプロ機らしく重要

視野率ほぼ100%という優秀なファインダーなので、

クモリ。

カビ。

プリズム劣化。

スクリーン傷。

ゴミ。

を確認します。

多少のホコリはフィルム画像へ写りません。

しかしファインダーが白く曇っていると撮影そのものが快適ではありません。

スクリーン違いにも注意

EOS-1は交換スクリーン式です。

中古個体では標準ではないスクリーンへ交換されている場合があります。

方眼。

マニュアルフォーカス用。

特殊用途。

など。

自分の用途へ合えばメリット。

そうでなければ標準スクリーンを探す必要があります。

裏蓋・ラッチも確認

電子一眼レフでもフィルムを使う以上、

遮光

は重要です。

裏蓋が確実に閉まる。

ラッチが摩耗していない。

隙間がない。

内部遮光材が劣化していない。

ことを確認します。

プロ使用個体は外観以上に酷使されている場合がある

EOS-1はプロ機です。

ということは、

本当にプロが使っていた個体

もあります。

外装の擦れ。

塗装剥げ。

角打ち。

だけなら、撮影性能へ影響しないこともあります。

むしろ問題は、

何万コマ切られたのか。

雨。

砂埃。

スポーツ現場。

報道現場。

など、どんな使われ方をしてきたか。

現在では正確なシャッター回数を簡単に確認できないため、動作状態を重視しましょう。

外観極上=内部極上とは限らない

逆に棚へ何十年も置かれていた、

外観ピカピカ

の個体でも、

マグネット固着。

モーター不良。

電子接点酸化。

という可能性があります。

EOS-1は、

使って確認するカメラ。

です。

現代のEFレンズをフィルムで使う面白さ

EOS-1最大の現代的メリットのひとつが、

EFレンズ資産。

です。

1990年代のレンズだけでなく、後年の高性能EFレンズを装着して35mmフィルムを撮影できます。

Lレンズ。

大口径単焦点。

マクロ。

超望遠。

などを、

フィルムへ焼き付ける。

FD機にはない遊び方です。

手ブレ補正EFレンズも組み合わせられる

対応するEF ISレンズなら、レンズ側手ブレ補正を利用できる組み合わせもあります。

フィルムカメラなのに、

AF。

IS。

超音波モーター。

高速シャッター。

という近代的な撮影ができます。

「フィルム=全部手動」

ではありません。

EOS-1ならフィルムでも撮影テンポが速い

機械式カメラなら、

巻く。

ピント。

測光。

設定。

撮影。

です。

EOS-1は、

構える。

↓

AF。

↓

AE。

↓

シャッター。

↓

自動巻き上げ。

です。

ほぼ現代のデジタル一眼レフと同じ撮影リズム。

違うのは――。

背面液晶がない。

撮った写真は見られません。

撮影感覚は現代的、結果確認だけフィルム

これがEOS-1の面白さです。

操作は現代的。

AF。

AE。

モータードライブ。

高速連写。

しかし記録媒体は35mmフィルム。

撮影。

↓

モニターを見る。

……。

モニターがない。

🤣

現像まで結果は分かりません。

「便利なフィルムカメラ」として非常に面白い存在です。

機械式フィルムカメラとは別ジャンル

Canon F-1。

Nikon F2。

Pentax Spotmatic。

などとは撮影体験がかなり違います。

EOS-1は、

フィルムを使う。

という点ではアナログ。

しかしカメラ制御は、

電子化。

自動化。

モーター化。

されています。

したがって、

「昔ながらの機械操作を楽しみたい」

なら別のカメラが向いています。

一方、

「現代的な操作でフィルムを撮りたい」

なら非常に魅力的です。

Canon F-1からEOS-1へ

キヤノンのプロ用35mm一眼レフ史では、

Canon F-1。

New F-1。

そしてEOS-1。

という大きな流れがあります。

F-1系はFDマウント時代。

EOS-1はEFマウント時代。

名前こそ「F」から「EOS」へ大きく変わりましたが、

プロの現場へ投入する最高級35mm一眼レフ

という役割は引き継がれました。

そしてEOS-1以降、キヤノンのプロ機を象徴する数字は「1」になります。

EOS-1シリーズはデジタル時代まで続いた

1989年。

EOS-1。

1994年。

EOS-1N。

2000年。

EOS-1V。

2001年。

EOS-1D。

その後、

EOS-1Ds。

EOS-1D Markシリーズ。

EOS-1D X。

へ続いていきます。

つまり初代EOS-1は、

キヤノンの現代プロカメラ史を始めたカメラ

といってもよい存在です。

まとめ

Canon EOS-1は、1989年9月に発売された35mmフィルム用AF一眼レフカメラです。

発売価格はボディ189,000円。

EOSシリーズ初のプロフェッショナル向けフラッグシップとして登場しました。

主な特徴は、

  • 35mmフルサイズ
  • EFマウント
  • 中央1点クロスタイプAF
  • EV-1まで対応する高感度AF
  • ワンショットAF
  • 動体予測AIサーボAF
  • 最高1/8000秒
  • X同調1/250秒
  • 6分割評価測光
  • 約5.8%部分測光
  • 約2.3%スポット測光
  • P/Tv/Av/M/DEP
  • 視野率ほぼ100%
  • 交換式フォーカシングスクリーン
  • 自動フィルム装填
  • 約2.5コマ/秒
  • 自動巻き戻し
  • 2CR5電源

というものです。

さらにPower Drive Booster E1を装着したEOS-1 HSでは、

最高約5.5コマ/秒

へ高速化されました。

現在から見れば、

AFポイント1点。

です。

しかし1989年のEOS-1で重要なのは、

「何点あるか」ではありません。

その一点を、

クロスタイプ化。

EV-1まで高感度化。

動体予測AIサーボ対応。

そしてEFレンズの高速AFと組み合わせる。

そうやって、AF一眼レフを本気でプロの現場へ持ち込もうとしました。

そして成功したからこそ、

EOS-1
↓
EOS-1N
↓
EOS-1V
↓
EOS-1D

という巨大な系譜へつながります。

現在中古で使うなら、電子カメラであることを忘れてはいけません。

2CR5電池。

シャッター。

ミラー。

AF。

EFレンズ通信。

フィルムモーター。

LCD。

そしてEOS-1系で報告例のあるBCエラーやミラー復帰系の固着。

外観だけではなく、実際に何度も動作させることが重要です。

正常な個体なら、

高性能EFレンズ。

高速AF。

正確な測光。

1/8000秒。

視野率ほぼ100%。

というプロ機らしい性能を使いながら、35mmフィルム撮影を楽しめます。

機械式クラシック一眼レフとはまったく違う。

しかし、

「デジタル一眼レフのように撮って、結果だけは現像まで分からない。」

この組み合わせこそEOS-1の面白さです。

Canon EOS-1は単なる1980年代のAFフィルムカメラではありません。

1987年に始まったEOSという新システムを、プロの撮影現場へ本格投入した最初のフラッグシップ。

そして後のキヤノンプロ機へ受け継がれる、

「1」の系譜を始めた一台です。

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